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2012年04月01日

GIGNって何?

はじめにGIGNことフランス国家憲兵隊治安介入部隊とは何なのか、紹介させて頂きます。



フランス国家憲兵隊治安介入部隊は、フランス国家憲兵隊の特殊部隊です。
フランス語;Groupement D'Intervention De La Gendarmerie Nationale
英語;National Gendarmerie Intervention Group

原語も日本語も長いです。
その長さ故に、通称『GIGN』と表記されます。
発音は「ジェイジェン」「ジェジェン」が原語に近いですが、「ジジン」と呼ばれることも多々あります。
またハリウッド映画やゲーム等の英語表記では、そのまま「ジー・アイ・ジー・エヌ」と呼ばれることが多いです。

モットーは“Servitas Vitae.”というもので、英語では“To Save Lives.”、日本語では“命を守るために”となります。
個人的にこの指針が大好きです。


創設のキッカケとなったのは1972年の『ミュンヘンオリンピック事件』で、当時のフランス内務省がパリのベルサイユ陸軍基地内に、また別の地域の機動憲兵隊の部隊内に『地域介入コマンド(Équipe Commando Régionale d’intervention:ECRI)』を設立しました。
当初はこの2つの部隊であったようですが、1976年に統合され、数年後の1983年にはベルサイユ・サトリー兵舎に移転されました。
2007年にはEPIGN(国家憲兵隊空挺介入中隊)と、GSIGN(国家憲兵特殊安全対策群)がGIGNへ統合され、現在は約380名の隊員を保有しているようです。
加えて2007~2012年頃にGSPR(国家憲兵隊大統領保安郡)も統合され、GIGNの部隊規模は非常に大きくなっております。

統合の一部には、2004年にロシアで起こった『ベスラン学校占拠事件』が念頭に置かれています。
フランスでは、同事件で見られた状況を“POM(Prise d'Otage Massive)”と呼ばれているそうで、直訳すると「大人数の人質を考慮する」というような内容になります。
このため「大規模な作戦行動ができるよう、共通の訓練を受けた約200名前後の隊員で構成する」という指針を打ち出し、それに沿って行われたもの・・・とされております。


GIGNの任務は、長らく対テロ作戦、対テロ対策、大規模な暴動・混乱の鎮圧、国家警察・国家憲兵隊では対処できない凶悪犯罪、そして要人の護送等が主となっておりました。
この基本的な任務は、現在は以下の様に振り分けられております。

●FI (la Force Intervention):介入部隊
 「ancien GIGN」、元々のGIGNの根幹である部隊です。

●FOR (la Force Observation Recherche):監視捜査部隊
 元々のEPIGNの捜索隊が根幹である部隊です。

●FSP (la Force Sécurité Protection):保安警護部隊
 元々のEPIGNの保安警護隊が根幹である部隊です。

● Le détachement GSPR:GSPR分遣隊
 フランス政府の要人警護部であるGSPRへ含まれる別働隊です。

また表舞台に立たないものの、他には以下の部・部隊が存在しております。

●EMOPS (l’état-major opérationnel):指揮・作戦参謀

●EMAS (l’état-major d'administration et de soutien):管理・支援部

●FAO (la Force Appui Opérationnel):作戦支援部隊

●FF (la Force Formation):訓練・養成部隊

任務の大きな区切りとしては、テロに関する介入部隊(元来のGIGNの任務)、テロ・犯罪に関する観察・偵察・調査等(旧EPIGNから)、要人警護や原子力発電所等の重要施設の警備(旧GSPRと旧EPGINから)といったかたちで、GIGNへ一まとめにされた感じです。


GIGN隊員の選抜試験は「100人近い志願者の中から、4~5人が最終候補として残る程度」だそうです。
志願者は国家憲兵隊で4年以上の勤務経験を持ち、なおかつ成績優秀であることが前提で、そこから更に選抜されるそうです。

予備審査は何と面接とのことで、毎年春に行われております。
この審査を通過してから、体力や精神力、技能などを見るための二次試験に進みます。
二次試験では、特殊部隊試験でお馴染みの持久走や競泳、狙撃技術、車両の運転技術、降下訓練等々・・・実に多種多様な内容となっております。
特徴的な試験としては、GIGNの格闘技インストラクターとの1対1での試合や、警察犬相手の試験といったものもあるようです。

GIGNは射撃の腕を重要視していることが有名で、ご存知の方も多いかと思います。
具体的には「ピストルでは25mから、ライフルでは200mから10回の射撃を行い、それぞれの得点で判断する」とのことです。
射撃の腕を求める理由は、一般的な特殊部隊とほぼ同じく犯罪者を正確に・迅速に無力化するためと思われます。
一方で、GIGNは犯罪者の逮捕を前提とすることが多いため、対象が即死しない部位を正確に狙い撃つ必要もあるそうです。
いずれにしても、高い射撃能力が求められていることがお分かり頂けるかと思います。

上記の二次試験は1週間以上かけて行われ、これに合格することでGIGNへの入隊が許可されます。
しかしその後も8ヶ月以上の実習期間を経ないと、一人前とは認められないそうです。


部隊の方針はモットーの通り人命尊重で、作戦時には念入りな情報収集を行い、人的損害を極力減らすため必ず説得や交渉を行います。
これで事態が進展しない場合のみ、武力介入となります。


単なる凶悪事件や単独テロには、国家警察の『RAID』とそれを主軸とする『FIPN』、そして『BRI』等が対処します。
それらでは対処が困難な場合にGIGNが出動する、という形式になります。
これは特殊部隊の始祖となった『GSG-9』に近いものですが、GIGNでは法的に「海外への派兵」と「現地での作戦行動」が認められており、その点で異なっております。
軍事作戦の場合は、陸海軍の特殊部隊と連携する場合もあります。
関連部隊につきましてはコチラをご覧頂ければと思います。

余談ですが、GIGNは他国の特殊部隊とも関係を築いているようです。
ドイツの『GSG-9』とは、1974年に指導を受けたことをキッカケに、現在まで対テロ作戦や技術に関する面で関係しております。
またGIGNの隊員がインターンシップの様な形式で、GSG-9を訪れることもあるようです。
オーストリアの『コブラ』及びベルギーの『CGSU(旧ESI)』とは、訓練等の面で関係しております。
1981年には米軍の『デルタフォース』と協力関係にあり、一時的に共通のメンバーが所属していたとされます。



以下は、GIGNが参加したとされる主な出来事の一覧です。
(情報に間違いが御座いました場合は、恐れ入りますが是非ともコメントにてご指摘頂ければ幸いです。)



●1974年5月
 フルーリー=メロジの刑務所で起きた暴動の鎮圧に介入。
●1976年2月
 ジブチ共和国バスハイジャック事件に対処し解決。
●1977年9月
 対ギャング作戦に参加、ハイジャック事件を解決。
●1979年11~12月
 メッカでのモスク占拠事件に介入。
●1981年5月
 ル・トゥケ・パリ・プラージュでのハイジャック事件に対処し解決。
●1982年4月
 シェルで武器大量保持者を逮捕。
●1987年
 刑務所で起きた暴動の鎮圧に介入。
●1988年2月
 バスクでIKの幹部を逮捕。
●1988年4~5月
 『ウベア島事件』に対処し解決。
●1994年12月
 『エールフランス8969便ハイジャック事件』に対処し解決。
 GIGNの活動で最も有名なものです。
●1995年9月〜10月
 『アザレ作戦(コモロ諸島解放)』に参加。
●2008年4月
 『タラティーヌ作戦』に参加。
 クルーズ客船「ル・ポナン」号で起きた、ソマリアの海賊による人質事件を解決。
●2010年頃~
 アフガニスタンへ派兵、政府要人警護と軍事作戦の双方に参加。
●2015年
 『シャルリー・エブド襲撃事件』と『パリ同時多発テロ事件』にて出動。

GIGNの公式な発表では、1974年から1985年までの間で 既に650以上の作戦に参加したとされています。



以上がGIGNについてになります。
最後まで読んで頂いた方、誠にありがとう御座います。

上記の内容および より詳しい事柄に関しましては、フランス国家憲兵隊のHPからWikipediaに至るまで、案外どこでも閲覧できる状態です。
詳しく書かれているのは やはりフランスのサイトですので、「もっと知りたい」と思われる方はそういったサイトを訪れてみて下さい!



・GIGN公式HP(フランス語)
http://www.gendarmerie.interieur.gouv.fr/gign

・GIGN-historique(フランス語)
http://www.gign-historique.com/

・GIGN.org(フランス語)
http://www.gign.org/gi/

ご参考になれば幸いです。
  
タグ :GIGN

Posted by Lure at 14:48Comments(0)GIGNって何?